教育行政方針
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令和7年度 教育行政方針
はじめに
令和7年標茶町議会第1回定例会の開会にあたり、令和7年度の教育行政執行方針をご説明させていただき、議員各位、町民ならびに教育関係者の皆様のご理解とご協力をお願いする次第であります。
令和6年度はICTを活用した「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実に向けた授業改善や家庭と連携した望ましい学習・生活習慣の確立、全小・中学校と地域が連携したコミュニティ・スクールの推進等に取り組んでまいりました。今年度は、これまで得た知見を活かし、さらなる学びの充実と教育にかかわる諸課題の解決に向けた取組を進めてまいります。
本町の基本目標の一つである「みんながいきいき学んで育つまち」の具現化に向け、学校教育では「ふるさと標茶に誇りと愛着をもち、自らの夢の実現のために挑戦し続ける子どもの育成」を図ってまいります。また、学校教育・社会教育が一体となって地域における幅の広い教育活動により、「町民すべてが生涯にわたって学び、自らの人生をよりよいものにしていく教育諸条件や教育環境の整備」を推進してまいります。
以下、主要な施策の概要について申し上げます。
1.学校教育の充実
学習指導要領においては、一人一人の児童生徒が、自分のよさや可能性を認識するとともに、あらゆる他者を価値のある存在として尊重し、多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り拓き、持続可能な社会の創り手となることが求められております。
そのためには、学校と家庭・地域が教育の理念や目標を共有し、連携・協働しながら学習指導要領の理念を学校の教育計画に具体化するとともに、日々改善を進めることが重要となっております。
以下、教職員一人一人が高度な専門職としての自信と誇りをもち、保護者や地域の信頼に応える、魅力ある学校づくりを推進する施策について7点にわたり申し上げます。
信頼に応える魅力ある学校づくりの推進
学校が保護者や地域の信頼に応えるためには、学校・家庭・地域が目指す目的や目標を共有し、地域に根差した教育活動を展開するとともに、教育課程を柔軟に編成・実施していくことが重要です。
以下、そのための方策について申し上げます。
- 社会に開かれた教育課程の実現
学校教育を通して子ども達に必要な資質・能力を身に付けることができるよう、地域との連携および協働を図るとともに、地域の教育資源を活用し、「社会に開かれた教育課程」の実現を目指します。自分に合った学び方や他者と協働する取り組みを充実させ、「知・徳・体」のバランスのとれた「生きる力」を育んでまいります。
また、保護者や地域住民が学校運営に参画する「コミュニティ・スクール」につきましては、学校と地域が連携し、持続可能な協働体制のもと、特色ある教育活動を行ってまいります。
- ふるさと教育・キャリア教育の充実
児童生徒が将来に向けた自己実現を図るため、本町の豊かな財産である「ひと・もの・こと」を活用し「ふるさと教育・キャリア教育」の充実に努めてまいります。
小学生による釧路川のカヌー体験・標茶高校と連携した食育連携事業を継続します。さらに今年度から、小中学生が直接馬と触れ合う「馬に関する体験学習」を実施します。今後も教育委員会として、各学校における地域の教育環境等を生かした体験的なふるさと教育を支援するとともに、子どもたちが学ぶことと自己の将来とのつながりを見通すことができるよう、地域資源を活用した学びを進めキャリア教育の充実を図ってまいります。
- 教員の資質の向上
児童生徒の「生きる力」を育むためには教員の資質・能力の向上が不可欠であります。そのため、教師自身が学校教育を取り巻く環境の変化を前向きに受け止め、主体的に学び続けるとともに、教師の個性に即した学びや教師同士の学び合いを行うことが求められております。
「学びに関する高度専門職としての教師」の実現に向けては、標茶町教員資質向上研修を行うとともに、標茶町教育研究所の活動の充実、各種研修会への積極的な受講を奨励するなど、教職員の資質向上につながる研修機会を確保してまいります。また、2校を研究指定校に指定し本町の学校教育水準の向上に寄与する実践的研究を進め、国のGIGAスクール構想による1人1台端末の効果的な利活用に向けた、教員の指導力向上に取り組んでまいります。
確かな学力の育成
これからの社会を生き抜く確かな学力を育成するためには、自ら学び、行動し、よりよく問題解決する資質・能力を養うことが重要です。そのため学校教育においては、子どもを中心においた質の高い学びを、切れ目なく保障することが求められています。
以下、そのための方策について申し上げます。
- 「主体的、対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善
各校においては、学習指導要領の趣旨を踏まえ「主体的に学び、周りと対話する過程で自らの学びを深めていく授業」が求められています。そのため1人1台端末の活用を一層進め、「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実への授業改善および端末を活用した家庭学習を推進してまいります。
学習の定着を把握する手立てとして、標茶町学力サポートプラン(標準学力調査)や全国学力・学習状況調査、北海道チャレンジテスト等を継続的に実施してまいります。
また、児童生徒の学習状況を的確に把握することで、実効性のある学力向上プランを策定し、検証改善サイクルを確立することに努めてまいります。
英語力向上につきましては、今年度も外国語指導助手2名を町内の認定こども園に派遣することに加え、小学校1・2年生における外国語活動を継続し、幼児から系統的に生きた英語に触れる機会を充実させます。また、道教委の事業である小学校英検ESG、中学校英検IBAを効果的に活用し、英語力の向上を図ってまいります。
- 生活習慣・学習習慣の確立
各家庭に「早ね、早おき、朝ごはん運動の推進」および「家庭学習習慣の確立」を呼びかけ、生活リズムチェックシート等を活用して家庭との連携を密にすることで、家庭における望ましい生活習慣と学習習慣の確立に努めてまいります。
また、「北海道学び推進月間」の標語づくりに取り組むことで、主体的に学びに向かう態度の育成を図ってまいります。
- 今日的な教育課題への対応
情報化社会に主体的に対応できる「情報モラル」「情報活用能力」を、授業での1人1台端末の活用場面等において育成するとともに、家庭との連携によりネットトラブル等の未然防止に努めてまいります。
また、北海道アクション・プラン(第3期)を踏まえた「標茶町働き方改革行動計画」を推進し、校務の効率化と業務の平準化・学校運営体制の見直しなどによる改善等を通して、教員の働き方の改善に努めてまいります。
豊かな心の育成
規範意識や互いの個性・立場を尊重する態度、生命を大切にして、他者を思いやる心など、児童生徒の豊かな人間性と社会性を育むため、以下の点について取り組んでまいります。
- 道徳教育の充実
特別の教科である道徳を要として、学校の教育活動全体で道徳教育を進め、自己の生き方を考え、主体的な判断のもとに行動し、自立した人間として他者とよりよく生きるための基盤となる道徳性を養っていきます。
そのために、「考え、議論する道徳」の授業を充実させ、その取組を家庭や地域に公開するよう努めてまいります。
さらに、問題行動等の未然防止に向けた「非行防止教室」「薬物乱用防止教室」等を計画的に進めてまいります。
- いじめや不登校への対応
「標茶町いじめ防止基本方針」に基づき、いじめの問題の未然防止、早期発見、早期対応等、「いじめ見逃しゼロ」に努めてまいります。計画的ないじめ実態調査や教育相談等を通して状況を把握したり、「SOSの出し方に関する教育」を充実したりする等、組織的できめ細かな対応をしてまいります。また、「いじめ根絶に向けた1学校1運動」や「いじめ根絶子ども会議」「絆づくりメッセージコンクール」等の取組を通して、「いじめは絶対に許されない行為である」という意識の醸成を図ってまいります。
不登校への対応につきましては、各校にサポートルームを設置し、一人一人の教育的ニーズに応じた学びの場を確保するとともに、児童生徒が安心する居場所づくりに努めます。また、幼児教育施設や民間施設との連携を密にし、小1プロブレム、中1ギャップの予防に努めるとともに、スクールカウンセラーや養護教諭による専門的な相談に積極的につなげることを通して未然防止および適切な支援を進めてまいります。
- 読書活動の充実
読書は、豊かな心の育成や確かな学力の基盤として重要な活動であることから、児童生徒が日頃から読書に親しむことができるよう学校図書館の活性化や読み聞かせ、ブックトークの設定などに取り組み、読書の習慣化につながるよう努めてまいります。
子どもの健康な体の育成と安全
- 健康な体づくりの充実
全国体力・運動能力、運動習慣等調査や新体力テストの継続的な実施から児童生徒の体力の状況を的確に把握することで、実効性のある体力向上プランを策定します。各校では、運動の楽しさに触れ、子どもたちが進んで運動に親しむ授業を通して、児童生徒の運動習慣・体力向上に向けた取組を進めてまいります。
また、学校保健安全法が定める検診の実施や性教育、疾病予防や事故防止などの指導を通して、健康の保持増進を図ってまいります。
- 安全教育の充実
学校の危機管理マニュアルに基づき、災害を想定した避難訓練や、地域と連携した「1日防災学校」等の実践的な防災訓練、熱中症対策を進め、防災体制の整備や自らの身を守るために必要な能力の育成に努めてまいります。
また、「標茶町通学路交通安全プログラム」に基づいた校外や登下校時の安全対策、不審者侵入時の退避行動について学ぶ防犯教室の実施を、関係機関と連携して取り組んでまいります。
さらに、各校では月2回の「ネットパトロール」を実施し、インターネット上で児童生徒がいじめや犯罪等のネット上のトラブルに巻き込まれることがないよう、未然防止・早期発見・早期対応を行ってまいります。
- 食育の充実
「標茶高校と連携した食育推進事業」の実施や、栄養教諭による食育などを通して、食に関する正しい理解と望ましい食習慣の定着に向けた取組を推進してまいります。
また、標茶高校への給食提供や、地場産品の活用、衛生管理および栄養バランスに留意した献立など、安全・安心でおいしい学校給食の提供に努め、町内小中学校の児童生徒の給食費の無償化を継続し、子育て世帯の支援を実施してまいります。
特別支援教育
子どもたち一人一人の教育的ニーズに応じた適切な指導や支援を行うため、特別支援教育コーディネーターが中心となり、個別の教育支援計画を活用して組織的な支援に取り組むとともに、特別支援教育支援員の配置や「標茶町特別支援教育マップ」を作成し、支援環境を整備してまいります。
また、関係機関が連携する標茶町特別支援教育連絡協議会の活動を支援し、特別な支援を必要とする子どもへの適切な指導の充実に努めてまいります。
幼児教育
幼児期は、次代を担う子どもたちの生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要な時期であります。幼児教育と小学校教育の円滑な接続のもと、認定こども園や保育園等との連携に努めてまいります。また、今年度も認定こども園への定期的な外国語指導助手の派遣を継続し、幼児期からの外国語活動を充実させてまいります。
教育環境の整備
各学校の教育効果の向上を図るため、児童生徒数の将来動向等に留意のうえ、「学校適正配置計画」を基本に、学校、家庭や地域への情報提供を行い、よりよい教育環境づくりに努めてまいります。
スクールバスの運行につきましては、児童生徒の安全を確保するため関係機関の連絡体制をより緊密にし、安全運行の指導を徹底してまいります。
学校施設等の整備につきましては、「標茶町学校施設個別施設計画」を基本とし、財政状況を踏まえて、教育環境の質的向上や改修の検討を進めてまいります。暑さ対策につきましては、「町有施設冷房設備設置方針」に基づき、各校にスポットクーラーの設置を進めてまいります。
また、教育振興対策事業および学習教材費サポート事業により、引き続き学校における教材費等を公費負担とし、父母負担の軽減を図ってまいります。
標茶高等学校は、町内における社会に人材を送り出す最終段階の教育の場であり、小・中・高一貫した教育環境を整える上で、その役割は重要です。引き続き、教育振興会を通して支援を行うとともに、標茶高等学校が持つ教育的価値を町内外に広く発信する取り組みを進めてまいります。
2.生涯学習、芸術文化・スポーツの充実
令和7年度は、標茶町社会教育第9次中期計画の3年目になります。
すべての町民が、生涯にわたりあらゆる機会と場所において、学ぶことができるような活動の場と情報の提供を行い、学んだ知識や技術を生かした社会活動を奨励し、誰もが心豊かな人生を送るための環境づくりに努めてまいります。
家庭教育への支援
子育て支援センターをはじめとする関係機関と連携し、乳幼児期からの親子のふれあいや豊かな情操を身につけるための支援に努めてまいります。
青少年教育の充実
子どもたちの多様な学びや体験活動に対する意識を高め、「望ましい生活習慣」の定着に向けた取組の推進を図るため、各学校や各関係団体等と連携して「しべちゃアドベンチャースクール」をはじめ、各種体験活動の充実に努めるとともに、「少年の主張大会」や「子どもの夢を育てるまつり」などの事業を推進してまいります。また、20歳を対象とした「20歳(はたち)のつどい」交流会の開催を引き続き支援してまいります。
成人教育の充実
公民館等を中心に住民ニーズの把握に努め、趣味の講座や健康づくり教室、レクリエーション等、心の豊かさを実感できる事業を推進してまいります。
また、女性のつどいや男女平等参画集会をはじめ、まちづくりに対する女性団体の活動を支援してまいります。
高齢者教育の充実
趣味を持ち健康的な生活とスポーツを楽しみ、健やかで充実した生活を営むことができるよう「たんちょう大学」や地域の交流の場である公民館講座等、学べる機会を提供してまいります。
また、健康相談や軽体操、ゲーム等を取り入れ、情報交換の場として楽しめるよう地域ふれあいサロンを実施してまいります。
図書館活動の充実
「資料提供」「全域サービス」「児童サービス」の3点を重点に、図書館システムを活用しながら進めてまいります。
また、11万冊を超える蔵書を多くの方に利用していただけるようなイベントや展示を行うとともに、来館が難しい方には、図書館バスによる定期巡回時の訪問や公民館等の拠点箇所への定期配本に努めてまいります。
第2次標茶町子どもの読書活動推進計画に基づいた学校への配本や読み聞かせ、町保健福祉課と連携したブックスタート事業等を継続してまいります。
博物館機能の充実、文化財の保護と活用
標茶町博物館は、博物館機能である「収集と整理・保管」、「公開と展示」、「普及と教育」、「調査と研究」に加え、各学校や公民館等と連携した学習会、講座の開催、ボランティアの育成等に取り組んでまいります。
また、標茶町アイヌ施策推進事業計画に基づき、本町に存するアイヌの歴史や文化等にふれる機会を提供し、情報発信に努めてまいります。
文化の振興、スポーツの推進
文化の振興につきましては、標茶町文化協会をはじめ、公民館等町内の社会教育施設を活動拠点とする団体と連携を図り、活動発表の場である文化祭や総合文化祭の開催、町民有志で構成する町文化講演会等へ支援を行うとともに、文化バス事業として、近隣市町村で開催する芸術鑑賞等の機会を提供してまいります。
スポーツの推進につきましては、「誰もが、いつでも、どこでも、いつまでも」スポーツに親しむことができるよう、標茶町スポーツ協会や各スポーツ団体、障がい者団体等と連携を図り支援してまいります。スポーツ推進委員や健康づくり運動指導員による指導・普及、スポーツ団体指導者の育成等、町民の健康増進に努めてまいります。駅伝競走大会をはじめとするスポーツ大会や教室等を推進し、全道・全国大会等へ出場権を得た団体や個人にはスポーツ振興助成金による支援に努めてまいります。
また、部活動の地域展開として、中学生がスポーツ・文化芸術活動に継続して親しむことができるよう、休日の部活動の指導体制を整備し、平日も含めた体制構築に努めてまいります。
以上、令和7年度の教育行政執行に当たって基本方針を申し上げましたが、本年度も本町教育の充実・発展に向けて全力を尽くしてまいります。
町民の皆様ならびに町議会の皆様のご理解とご協力を心からお願い申し上げまして、教育行政執行方針といたします。
標茶町教育委員会 管理課総務係
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